データ・ドリブン・マーケティングとは?アクセス解析の基本的な考え方からGoogleアナリティクスの設定・分析方法を解説

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管理人:かつさんど
  • 現役Webマーケター
    元Webディレクター
  • 東証一部上場の不動産系企業で勤務
  • 最高収益:月間30万円

近年では企業が今まで集めてきたビックデータを活用する考え方が進んで、よりデータ志向でWebマーケティングを行う機会が増えてきています。

Webマーケティングで使うアクセス解析ツールといえば、Googleアナリティクスが代表的であり、多くの方が聞いたこと、使ったことがあると思います。

今回はビックデータ時代におけるアクセスログ解析ツールを使う上での基本的な考え方からGoogleアナリティクスの初期設定・分析方法を解説していきたいと思います。

目次

データ・ドリブン・マーケティングとは?

昨今のビックデータの時代では、データ志向のマーケティングを実施することが可能になっており、適切にデータを活用している企業としていない企業では、競争力に大きな差が生まれてきています。

AI、IoTなど分野に関わらず、データ活用におけるステップは、「収集」→「蓄積」→「分析」→「活用」となっていきます。マーケティングにおいても同様のステップでデータ志向のマーケティングを実践することがデータ・ドリブン・マーケティングです。

データ・ドリブン・マーケティングはノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院で非常勤講師を務めているマーク・ジェフリーが提供しているフレームワークが有名です。

データ・ドリブン・マーケティングの戦略立案のためのフレームワーク

デジタルマーケティングに関わらず、本質的な目的が不明瞭なまま施策をメインに考えて実行に移すと、時間と費用を多分に浪費してしまうリスクが発生します。こうした「戦略なき施策」によるリスクを避けるべく、データ・ドリブン・マーケティングにおいても戦略目標を明文化することは最優先事項です。

戦略目標ありきで必要なデータベースを構築し、測定可能なマーケティング指標を測定します。この土台ができて初めてデータ・ドリブン・マーケティングが可能になります。

アクセスログ解析の今後について

有名なアクセスログ解析ツールは買収されて誕生している

Googleアナリティクスは無料で利用することができて、世界中のあらゆる企業で利用されています。Googleが生み出したアクセスログ解析ツールだと思われていますが、元々は2005年にUrchinというアクセス解析のソフトウェア企業を買収し、今のGoogleアナリティクスが生まれています。

同様に現在高機能なアクセスログ解析として有名なAdobe AnalyticsもWeb解析において世界のリーダーと言われていたOmnitureを買収して生まれています。現在日本の多くの企業で活用されているアクセスログ解析ツールといえば大半はGoogleアナリティクスかAdobe Analyticsではないでしょうか。

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用

また近年ではアクセスログ解析だけにとどまらず、企業が蓄積するさまざまなデータと統合的に連携して分析・集計しビジュアライズすることができるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールが多くの企業で導入されています。

BIツールとして有名なのがOmnitureの創業者が起業したDOMO、アカデミー賞受賞者であるパット・ハンハランが創業者であるTableau、Salesforceが提供するEinstein Analytics、またGoogleが無償で提供するGoogleデータスタジオなどがあります。

GoogleデータスタジオはGoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleなど、さまざまなGoogle製品とシームレスに接続し無償で利用できるため積極的に活用する価値があります。

オムニチャネルの発展とAIを使った将来予測

アクセスログ解析自体にはあまり大きなイノベーションは起こっていませんが、今後大きく2つの流れがあると想定されます。

1つ目がオムニチャネルによりコールセンターや店頭接客などさまざまな接点が一元的に管理できるようになることです。それによってアクセスログと顧客行動とつなげることができ、チャネル間のアトリビューション分析が可能になるという流れです。

2つ目がAIなどの活用により過去のデータから将来予測をするという流れです。現在でも選挙や大リーグなどでは予測が使われていると言いますが、ビジネス現場でも浸透していくことでしょう。

アクセスログ解析のスキルを得るための重要な考え方

ユーザーシナリオを想定する

アクセスログ解析はあくまで、ユーザーがどのような行動をしたかということしか見ることができません。「なぜ」そのような行動をしたかは数値からはわからず、ユーザーテストなどで補足する必要があります。

ですが、アクセスログ解析を実施する上でもユーザーがどのような行動を取るか、またはとって欲しいかという理想のユーザーシナリオを想定しておくことで、アクセスログ解析による数値との乖離を課題と認識し、分析することができます。

アクセスログ解析は数値による分析になりますが、ユーザーシナリオを想定しながら実施をすることでより多くの気づきを得ることができます。

仮説を持って分析にあたる

ユーザーシナリオもある種、ユーザーはこう動くだろうという仮説です。このような仮説を持って分析することが重要です。例えば、異常に離脱率が高いページがあったとします。この場合、単にページだけを見ていれば、「コンテンツの質が悪かったのか」と結論付けてしまうこともできてしまいます。

ですが、異常に離脱率が高いということからも、「もしかすると、サーバーにエラーが起こっていたりなどシステム的な欠陥ではないか?」といった仮説を立てた場合では、異常に高い離脱率のページの解決方法が変わります。

実際は非常に良いコンテンツであったにも関わらず、ただのサーバーエラーだったとすると、「コンテンツの質が悪かったのか」と結論付けてしまうと、大きな機会損失となってしまいます。

鋭い切り口を考える

卵を分析する時に最も良い切り口は何でしょうか。答えは輪切りでも半分に切ることでもなく、白身と黄身にわけることです。これと同様にアクセスログにもさまざまな無数の切り口があります。無駄な切り口で分析をしても有意な示唆は得られません。

基本的なことであれば、PCとスマホではサイト構造が変わるため、土日祝と平日に分けて考えることも意味のある気づきを得ることができます。無数にセグメントを分けられますが、ビジネスに応じて鋭い切り口を考えてみましょう。

ファネルにより分析する

段々とユーザーの数が少なくなっていく様が漏斗(ファネル)に似ていることからユーザーがWeb/アプリ等で目的のアクションに至るまでの過程はよくファネル図に例えられます。

そして、このファネル図を分析することでユーザーがどこで離脱してしまっているのかを特定し改善施策を打つことができるようになります。

データは常に比較する

単純にデータを眺めているだけでは得るものはあまりありません。比較することでさまざまな示唆を得ることができます。

比較の方法としては、昨年対比、ユーザー毎、PC/スマホ、コンバージョンしているユーザーしてないユーザー、リニューアル前後3ヶ月などさまざまな比較の方法があります。切り口と同様に比較対象が適切かどうかも重要です。

例えば、夏に繁忙期があり、冬に閑散期のビジネスであれば4-9月と10-3月を比較しても冬の数値が悪いのは閑散期だからであり、この比較ではあまり意味がありません。適切な比較対象を設定し比較しましょう。

分析ツールは同じものを利用し前提を合わせる

違うツールで同じサイトを分析したとしても、数値がぴったり一緒にならないことがあります。これは分析ツールには取得方法の違いがあるためです。

そのため、基本的には同じツールを利用することで、分析の前提を合わせて正確な評価をしましょう。

自分だけであれば気にする必要はありませんが、自分とクライアントが個々に異なる分析手法をとっている場合もあるため、同様に分析前提を合わせるようにしましょう。

Googleアナリティクスの必須の事前設定

全てのページにタグを埋める

計測用タグを全てのページに導入しなければ、アクセスログの取得は始まりません。また指定される正常な位置にタグを設置しないと計測がされないためしっかりと確認しましょう。

すでにGoogleタグマネージャーが入っていればアカウント番号を入力するだけで計測されるため便利です。Googleタグマネージャーは積極的に活用していきましょう。

フィルタをかける

設定で特定のIPアドレスなどからのトラフィック計測を除外することができます。自分の会社や依頼している制作会社などのパートナー及び関係者からのトラフィックが交わると正確な数値が導かれないため、関連するIPアドレスなどからのトラフィックは除外設定をしましょう。

目標を設定する

サイトにおける目標を設定することができます。動画の再生などさまざまな指標を目標にすることができますが、最も多いのが申し込みフォームを通過したコンバージョンという指標です。

コンバージョンが設定されていないとコンバージョン率(CVR)が取得できないため、Googleアナリティクスによる分析の真価がほぼ無い状態に等しくなります。

複数のコンバージョンがある場合なども必ず目標にコンバージョンを設定しましょう。

他のGoogleツールと連携する

GoogleアナリティクスはいくつかのGoogleが提供するサービスと連携をすることができます。

サービス連携をすることでGoogleアナリティクスから一元的に数値を見れるようになったり、Googleアナリティクスのセグメントを元に広告を出すなどマーケティングの幅を広げることができます。

Googleアナリティクスの基礎的な使い方

ファネル分析:Webサイト全体の中の課題を探す

ファネル分析は大きなボトルネックを見つけ出す時に便利な方法です。最も大きいところから購入完了ページまでをみていくと、商品詳細ページからカートページがやや遷移率が低いことが伺えます。

この場合、商品詳細ページからカートページの遷移率を向上することで全体のCVRを上げることができます。どこが最もボトルネックになっているかを特定しクリティカルな課題をクリアすることで大きな改善を図れます。

フォーム(カート)分析:コンバージョンしてもらう上での課題を探す

フォームやカートの開始ページから完了ページまでをさらにんファネル分析をすることでCVRを向上させます。フォームやカートの開始ページまで行ったユーザーは意欲が高いユーザーですから、改善効果は比較的出やすい箇所です。

Googleアナリティクスでは「目標到達プロセス」という設定をすれば開始ページ〜完了ページまでを取得することが可能です。

曜日×時間別分析:ユーザーが訪れる曜日・時間帯の傾向を確認する

曜日と時間帯を分析することでさまざまな傾向が見えることがあります。平日と休日や朝・昼・夕方・夜などで違いをさぐってもっともアクセスが多い曜日と時間帯にキャンペーンを行うことでより効果が期待できます。

チャネル別パフォーマンス:ユーザーがどこから訪れているか確認する

集客チャネル毎にパフォーマンスを見る方法です。集客経路によりどの位の収益が上がっているかを確認します。

また、Googleアナリティクス以外のデータを活用し経路別の費用を組み合わせればROIを算出することができます。ROIを算出することで同じプロモーション予算だったとしても予算配分をROIが高いところに置けばより全体最適をすることができます。

ランディングページ:ユーザーがどのページから訪れているか確認する

Webサイトの集客経路としてどのページにユーザーが集まっているのかを分析することは非常に重要です。特にコンテンツマーケティングを行っている場合、複数の記事を公開して一定期間様子を見てどのページからのアクセスが稼げているのかを分析することで次の記事を作る上で参考になります。

デバイス別パフォーマンス:ユーザーがどのデバイスで訪れているか確認する

自社のデバイス比率がどのような構成になっているかは必ず確認しましょう。基本的に今の時代はスマホからのアクセスが多い傾向がありますが、BtoBの場合はPCやタブレットからのアクセスが多いこともあるのでWebサイトに訪れるユーザー層から想定通りの比率になっているかを確認します。

キーワード分析:ユーザーがどんなキーワードで訪れているか確認する

SEOなどでキーワードを分析する時に大きく切り分けるべき軸がブランドワードと一般ワードです。ブランドワードとはブランド名、会社名、商品ブランド名などの固有名詞で、一般ワードはその他の一般ワードとなります。

Googleアナリティクスの応用的な使い方

セグメントを切る

Googleアナリティクスにはセグメントという機能があります。コンバージョンしている/していないであったりページAを閲覧しているユーザーであったりさまざまな軸でセグメントを切ることができます。仮説をベースに必要なセグメントがある場合はセグメント機能を使い分析しましょう。

データベースのインポート

商品マスタのような商品番号やカテゴリーなどをGoogleアナリティクスにインポートすることが可能になります。

デフォルトではGoogleアナリティクスではURLをベースに分析しますが、新しくカスタムディメンションといったような軸が加わり、別URLでも同一カテゴリーであるといったようにカテゴリ別などで分析ができるようになります。

eコマース

デフォルト画面では、収益や購入数、価格、配送料などは取得できませんが、このeコマーストラッキングを設定することで取得が可能になります。

売れ筋商品を知りマーチャンダイズに活かすことや需要予測、広告毎の効果などに活用することができます。eコマースを実施している会社であれば必ず設定をしてみましょう。

Googleタグマネージャーによる制御

Googleアナリティクスの変数タグを変更することで、リンクのクリックや時間間隔の変更などさまざまなチューニングができます。

ひとつひとつのタグを変更するのは手間でしたが、タグマネージャーから「Googleアナリティクス設定」という設定ができるようになり、簡単にタグを設定・管理できるようになっています。

PDCAサイクルの回し方

テストの考え方

テストはクリエイティブ、キャッチコピー、イメージなど複数の変数をテストすることができます。テストを実施するときは、ひとつの変数のみを実施することを推奨します。

理由は複数のパターンをテストすると、クリエイティブが良かったのかキャッチコピーが良かったのか、どの変数が良かったのかがわからないためです。基本的なテストの考え方としては、最初にクリエイティブをテストし良かった方を採用する。

次にキャッチコピーをテストし良かった方が採用する。というようにひとつの変数をテストすれば、後から振り返ることで良かった変数を理解することができます。

仮説検証

PDCAを回すときは必ず仮説を持つようにしましょう。仮説を持たずなんとなく実施した改善施策には意味がありません。下手に鉄砲も数撃ちゃ当たると同じです。

分析をしたときの数値をみて、「これはもしかするとユーザーがこういったことを思っていたのではないか?」「こういう表現にするとより改善されるのではないか?」という仮説ベースでPDCAを回すことが大事です。

A/Bテスト

A/Bテストとは2種類のクリエイティブやボタンなどをテストし成果が高い方を採択することで成果を上げる方法です。広告やサイト、メールなどあらゆるところでA/Bテストをすることができるので考え方を覚えておきましょう。どちらのパターンが良いか悩んだときはA/Bテストで数値結果を元に優れたパターンを導き出します。

ただ、あまり意味なく乱用すると、テストの時間に対する結果が見込めないこと、悪いパターンとテストをするとテスト中の成果が悪くなってしまうことがあります。また、数字が良い型を採択し続けると、本来求めているユーザーと違うユーザーがサイトに訪れているといった本末転倒なことになる可能性があります。

多変量テスト

複数の変更の組み合わせから最も良いバリエーションを導き出すテスト手法です。A/Bテストは一つの変数をテストしますが、多変量テストは名前の通り多くの変数をテストします。

例えば、画像3パターン×ボタン3パターン×テキスト3パターンの合計27パターンをテストすることができます。一定量のトラフィックがあればテスト結果が出るまでのスピードは早いですが、あまりトラフィックが無いサイトで実施すると、いつまで経ってもテストが終わらないといううことが起こります。

大数の法則

テストをするときは大数の法則を覚えておきましょう。これは確率論や統計学の基本定理の一つで試行回数を繰り返せば試行した平均が理論的な定期んに近づくということです。

サイコロを30回振っても1が出ることは確率通りの5回にはあまりなりません。2回だったり7回だったりします。ですが、サイコロを300万回振れば確率通りの500訪問しか振り分けられず試行回数が少ないためテスト結果の精度が悪くなるということです。

カイ二乗検定

それはどの程度の試行回数をすれば良いのでしょうか。一概に何回や何ヶ月といった指標はありません。Aパターン、Bパターンともにいつまでたっても同じ確率であればテストは終わりません。

統計的にA/Bテストの有意差を判定する方法として、カイ二乗検定というものがあります。簡単に言うと、どちらかのパターンが勝つ確率信頼度を測定することができます。

「短時間で確実にスキルを身につける方法は?」という方は、実務経験も可能なWebマーケティングスクールという方法もあります。気になる方は読んでみてください。
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